現代の寓話

ある時、釣りをしていたメキシコ人の漁師にエリートビジネスマンが言います。「君は魚釣りが上手だね。せっかくならもっと働いてみたらどうだい?」漁師は「自分と家族が食べるのにはこれで十分だ」と答えます。すると男は「余った時間でいったい何をするの?」というので、漁師は「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって、これでもう一日終わりだね」

「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。部下を雇ってもっと売り上げがでたらボートも買おう。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめて自前の水産品加工工場を建てて、ビジネスを大きくする。その頃には村を出てロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ。そうすれば老後もお金ができるよ」漁師が「なるほど、そうなるまでにどれくらいかかるのかね?」と尋ねると男は「15年~20年」というので漁師は「へぇ、それからどうなるの?」と尋ねると、男が「そしたら引退して、海岸近くの村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 どうだい?すばらしいだろう」と言うと “I already do that,” said the Mexican fisherman.「私はとっくにそうしているよ」とメキシコ人漁師は言ったところで話は終わる。

この漁師は、釣りの技術の習得まで10年~20年かかっているかもしれない。幸せとは何か考えさせられる現代の寓話。

英語版はこちらhttps://www.kevincsnyder.com/the-mexican-fisherman-amazing-short-story/